第2話 降りそそぐ結果とパラパラ納豆チャーハン

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 昨日の塩やきそばと同じ。  まずはねぎ油をつくっていく。  白ネギの上部、鮮やかな緑のみじん切りが油にぐつぐつ揺れている。  私はどうもその沸騰する気泡が好きでたまらない。  ぶくぶく沸き立つのを見ていると"料理"している感じがする。  料理をしている、つまりは生活をしている、ようはちゃんと生きているなあ私、なんてことを考えるのだ。  一銭だって稼がないのにやはり食べ物というのはなにか存分に私に生きている実感をくれるからありがたい。  ネギ油に塩を加える。ひとつまみを目安にお好みで。  これ以降とくに味を付けることはないので入れ過ぎても大丈夫。  そのねぎ油を横目にレンジに冷凍しておいた玄米を放り込む。  800wで1分加熱。これで解凍は完了だ。  ちょっとくらい冷えているところがあってもどうせフライパンで炒めるのだから気にしない。  ジャッ!  という音で玄米がフライパンに滑り込む。  ヤンキーの彼氏はチャーハン作るのが上手い、と言っていた女性タレントは誰だったろう。  思い出せないなあ…。  そもそもが白米よりねばりのない玄米がぱらぱらと油を絡めながら木べらのまわりを走り回る。  ネギと玄米がいい感じに絡む。  この時点では味は薄いのだ。  でも濃い味がいいときは米をフライパンの端によせて、開きスペースに直接醤油を垂らす。  ジュー…ブクブクブク、ッシュー…  フライパンに降り立った途端に沸騰する醤油はいわゆる"こがし醤油"に変身する。  ここでうっかり上から覗くと蒸発した醤油でむせる。  しかしすべての醤油が蒸発する前に米と絡ませれば醤油のいい香りがたつ。  でも今日はこのまま…。  フライパンの角に卵を叩きあてる。  わずかな衝撃が卵を割る右手に伝わる。  ジャッ!  米を端に追いやり卵のターン。  目玉焼きになってしまう前に卵をかき混ぜる。  固まりきる前に米を乗せて…。  すっかりチャーハンらしい態になってきたじゃないか。  とくに意味はないのだけど、できるのが嬉しいのでフライパン返しを数度。    
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