序章

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私の母はシングルマザーで、3人の子供を育ててくれた。 身体的な虐待はないし、祖父母の助けもあり、人間らしい生活はできていた。 でも毎日愛されている実感はなく、大人になった今でも、他人に愛されるということを知った今でも、そして母となった今でも、母から受けた呪いともいえる言葉たちは私の心を蝕む。 世の中にはもっと辛い思いをしている子供たちもいる。 大人になれないまま虐待死する子供、ネグレクトで毎日小汚い格好をしている子供、非行に走ってしまう子供。例を挙げればきりがないが、そんな子供たちに比べたら私は「幸せ」といえると思う。 虐待とまではいかないが、子供に呪いをかける親。 大人になって毒親というものを知った時に、これだったのだと知った時に私は悲しみでもなく、怒りでもなく、安堵した。 私のこれまで悩んでいたものは、贅沢な悩みではなかったのだと。 悩んでも許されるものだったのだと。 幸せな家庭で育ってきた人、両親に愛されて育ってきた人には決して分かってもらえない苦しみ。 私は周りの人たちのおかげで、その呪いを少しずつ解き、人に愛される喜びをようやく知り、娘ができた。 毒親に苦しんでいる人、毒親から離れてなお呪いで苦しむ人に大丈夫だよ、と思ってもらいたい。 また、親になる人に子供の心を知ってもらいたい。 親にしてもらったこと、されたことはその子供の心の材料になるから。 私の心の整理のためにも、戒めのためにもここに記録したいと思う。
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