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「真賀田も、あの映画好きなのか、」 「う、うん。そうなんだ」 「良いよな、『アズライト皇国』俺、特に音楽が好きでさ……」 「うん、良いよね」  二人は映画の話をする。  まだ気羞しいけれども、言葉を交わすほど、おそれは解けていく。上手く喋らなくても良い。少しずつ、積み重ねていけば良い。 「真賀田、いつもあの喫茶店、手伝っているのか?」 「うん。学校から帰ってきてからと、休みの日には」 「そっか。偉いな。今度また、行ってもいいか?」  秋鹿は頷いた。「うん、いつでも」
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