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「うん。何とか、頑張れそうな気がする。おばあちゃんや、みんなが、僕を信じてくれるから……」 「そう……」  少しの間、夏紀は沈黙をした。 「秋鹿、母さん、あなたに謝らなくてはいけないわね。担任の先生に電話したこと……。ごめんなさい。余計なお節介だったわね」 「ううん、大丈夫だよ」 「もっとあなたの気持ちを考えなくては駄目ね。あの人の云うとおり、もっとあなたを信じてあげなくちゃいけないんだわ」 「母さん……」  夏紀は洟を啜った。 「離れていると、心配になり過ぎるみたいね。つい、要らない口を出してしまって……。ごめんなさい。母さん、少し、淋しいのかも識れないわ」  素直な気持ちの吐露に、秋鹿の胸も熱くなる。すぐ傍に、母親がいるようだった。
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