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 明くる日は学校は午前で終了だった。おかげで秋鹿は午后を丸々、店の手伝いをして過ごせた。  やって来た麗ら彦が、 「ハルさん、こないだ貰ったバッグの中に、こんなものが入っていたんだけど……」  ビーズのバッグの中から、花の形をした折紙を取り出す。 「折り紙? 薔薇(ばら)かしら」 「これ、どうやって折ってあるの? 可愛いから、あたしも折ってみたくて」  野遊丸が身を乗り出し、折り紙を奪って、広げてしまう。 「こら、せっかく綺麗に折ってあったのに、もう!」 「おや、この折り紙、何やら裏に文字が書いてあるぞ」  清明行者が野遊丸の手から折り紙を取り上げ、ハルに渡す。そこには子どもの字で、 ”お母さん、いつもありがとう。だいすき。なつき”  そう、書かれていた。
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