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「あら、聞いてないの、秋鹿。あの風来坊なら、また別の処へ行っちゃったのよ」 「いなくなったの? ふらここさん」 「まあ、そうだったの」  突然のことに、秋鹿とハルは驚いた。 「もっと話したかったのに……」  悄然とする秋鹿の肩に、ハルが手を置く。「すぐにまた会えますよ、秋鹿」 「そうだな。あの者も、ハル殿や秋鹿のケーキを食べたのだ。必ずやその味を恋しがって、戻ってくるだろうよ」 「戻ってくるだろうよー」  清明行者と野遊丸も、慰めてくれる。 「うん、そうだね、きっと」  秋鹿は力勁(ちからづよ)く頷いた。絶対に、彼とまた会える。そんな気がした。
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