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「あ、みんな来てる! やったあ、やったあ!」  茶漬けと助六がパトロールから戻ってくる。店はさらに賑やかになった。 「ハルさん、このキャロットケーキって、本当に人参(にんじん)が入ってるの?」  キャロットケーキを食べながら、麗ら彦が訊ねる。 「ええ、入ってるわよ。たっぷりとね」 「本当に? 全然、(にんじん)だって判らないんだけど、本当に入ってるの?」  確かめるように、麗ら彦は瞼をつむって、ケーキを味わう。 「ははは。(たし)かに妖しいケーキだな。巧妙に正体を隠すとは。まるであやかしのようなケーキだ」 「あやかしのようなケーキだー」  バンザイをするみたいに、野遊丸が両手を上げる。 「まあ、本当ですね」  麗ら彦もにっこりとして、 「でも、すごく美味しい。気に入ったわ、あたし」 「俺もだ」 「俺もだー」
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