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「短冊って、何だ、秋鹿?」  夕食の後で、銀河が秋鹿に訊ねた。さっきのハルとの会話を聞いていたらしい。 「七夕に、短冊に願いごとを書くと、その願いは叶うって 云われてるんだ」  秋鹿が説明すると、つまらなそうに、 「何だ、そんな面倒なことしなくたって、俺に願えば良いじゃないか。人間って、願いを叶えるために、何日も神社に通ったり、何かを捧げたり、面倒なことばかりするものだな。俺に願えば、簡単じゃないか」  だから俺に願えと、頬をすり寄せてくる。秋鹿は机に置いていた猫のストラップを手に取って、眺めた。
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