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「人間の願いって、多分、とてもややこしいものなんだよ。ただテストで一番になれば良い訳じゃないし、ただ誰かと友達になるだけじゃ、駄目なんだ」
ただ友達が出来れば、それで良い訳じゃなかった。
自分は勇気が欲しかった。勁くなりたかった。変わりたかった。それらは全て、外から与えられるものではなかった。自分の内側からしか出てこないものなのだ。
「……厄介だ、人間って。勝手にも程がある。勝手に可愛がって、勝手に傷つけて。我が儘だ」
ふてくされたように銀河は云って、秋鹿の肩から下りる。
「銀河、前にも云ったけれど、僕は君が願いごとを叶えてくれるから、君が好きな訳じゃないよ」
「じゃあ、どうしてだ」
「僕は君と友達になりたいって、思ったんだ。仲良くなりたい、話がしたいって。君がどんな姿でも、良いんだ。友達になるのに、特別に何かをしたり、されたりする必要なんて、無いんだよ。仲良くしたいと思うその気持ちだけで、良いんだ。それにね、僕は、自分の願いごとだけが叶うよりも、みんなの願いごとも叶う方が、良いんだ」
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