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誰もが仲良くするなんて……ハルと夏紀のやり取りや、柊と麗ら彦のぶつかり合いを憶い出す……そんなことは、難しいことなのだろうか。不可能のことなのだろうか。
でも、と、銀河の背中のなめらかさを感じながら、思う。僕は銀河と判り合えた。淋しい、淋しいと、ふたりで云うことで、判り合えたのだ。
秋鹿は銀河の睛を見据える。
「君が助六たちみたいに、人の言葉を喋れたら良いのにね」
今、銀河が何を思っているのか、識りたかった。銀河と話をしたかった。
「君も僕と話がしたいって、思ってくれているのかな」
もう一度、銀河の頭を撫でて、瞼を閉じた。銀河が頬をすり寄せるのが判った。残暑のなか、彼の躰は不思議と水のように快かった。
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