161人が本棚に入れています
本棚に追加
顔に血が上る。
「あれ?心拍数がえらく上がってない?しかも、なんか体熱い。
熱出てきたのかな?やっぱ薄着だったかな。
………そこでちょっと診察する?」
あんた。
その優しげな眼差しで。
指差したところはホテルじゃない?
固まってしまってた私の口元に笑いが浮かぶ。
「ねえ、もう一回聞いていい?僕のこと好き?」
「…………好きかも」
「ほんとに?」
「多分」
「じゃあ誓ってよ」
「えっ?誓う?」
「そう」
回していた腕を解かれる。
瞬間よろけそうになったのは、もしかして今まで私、体を預けきっていたということ?
いいえ、バランス崩しただけ。
認めない
認めない!こんな。
自分が、蕩けていたなんて。
そしてこの人、何で白衣のポケットまさぐってるんだろう。
「ふう、これこれ」
あ。それだ。
なぜか忘れきってたけど。
これがナースの誓いの証。何だってこんな大事な物忘れてたんだ私の馬鹿!
「ナースといえば、ナースキャップ。ただしこれは特別仕様」
でしょうね。
「レース付きですか」
「ベール付きです」
「私達がつけましょうかあ?」
「戴帽は最近しませんからねえ、病棟の師長くらいかなあ」
「訪問看護師は走ってなんぼ。心の中ではいつでもキャッピング」
そうそう。
へっ?
はああ?
最初のコメントを投稿しよう!