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「たまちゃん、らんちゃん、さっちゃん!どっから湧いた?」
あんた達飲みに行ったんじゃ。
「飲んでたわよ、渋谷で」
「うん。今の今まで」
「そこで二人を酒の肴に」
ん?
そこ?
三人が指差すそこは、向かいのビルの二階。まさかさっきの人影って。
「ちゃんと店の名前と地図、ラインしたし」
「見てもいないんだからね~」
「てか人前で堂々と貴女方は。写真撮られそうになってたの気づいてる?」
全然。
先生は?
知ってたな。
笑ってる。
気がつけば頭の上にはナースキャップが鎮座し、顔の前にベールが下ろされてる。
「うん、見ようによってはウェディングドレス。
先生、これ、丈詰めましたね」
「あ、さっちゃん分かるう?僕、外科医だから手が器用でさ。裁縫得意なんだ。これもお手製」
ベールをつまみ、マントをヒラヒラさせ
「じゃ誓いのキス」
ベールを持ち上げられる。
啄むようなキスは全く未経験の私のことを思ってくれてるのかしら?
「私達が立会人?」
「そういうことね、タマちゃん」
「証拠写真オッケー」
「後でくれる?らんちゃん」
「勿論よ、先生」
「……消してほしい」
恥ずかしい。
「で、これはハロウィンの仮装ってことでいいんですよね。結婚式はきちんとやりますよね」
「ちょ、たまちゃん、結婚式って」
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