迷子

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 急に言葉が詰まる。声を出せない、動けない。 「さっきはね、人が居たから。私は見えなくても、お兄さんは見えちゃうでしょ? 助けられたくなかったから」  少女が無邪気な笑顔で言葉を紡いでいく。 「私一人で寂しかったの。でもお兄さんが一緒にお家に行ってくれるって約束してくれたから。嬉しいよ」 「ーーーーーっ!」  必死に声を出そうとするも声にならない。 「じゃあ、行こう」  池の中は真っ黒だった。
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