3 森の奥にひそむ者たち

4/5
前へ
/30ページ
次へ
 ホワイトアウトが歩けるようになると、無免許医たちは、森の奥の奥にある大きな建物に、ホワイトアウトを呼びました。    歓迎パーティーかしらとわくわくしていたホワイトアウトは、無免許医達の不機嫌そうな顔を見て落胆しました。 「それで、あなたを殺ろうとしたのは誰?」  そう言ったのは第二の無免許医です。    ホワイトアウトは、母がじぶんを殺そうと可哀想なAIに命令したこと、ピューマが偶然助けてくれたこと、息も絶え絶えにやっとあの小屋を見つけたことなどを、無免許医たちに話しました。    無免許医たちはつまらなそうに、ホワイトアウトの話を聞いていました。  第四の無免許医が、 「良くあることだ」 というと、第五の無免許医が、 「そうそう。気にするな。すんだことは水に流せ」 とうなずきながら言いました。 「助けてくれてありがとう。わたし、これからどうすれば良いと思う?」  ホワイトアウトがそう言うと、無免許医たちはみんな黙ってしまいました。 「もし君が、小さなこどもの世話をしてくれるのなら、この森にいてもいい」 沈黙をやぶってそう言ったのは、第一の無免許医でした。ホワイトアウトはそれを聞いて、ほっとしました。     
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加