5 命の終着点

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「ホワイトアウトがさらわれた」 「俺が実験用に組み立てたスペースシャトルを使うか?三人乗りだが」 「あなたの趣味につきあってライカ犬になるのはごめんよ」 「今すぐに発射すれば間に合う。ライカ犬になりたいやつはいるか?」  無免許医たちがそう言い合いながら、自分たちの家の前まで来たちょうどそのとき、 スノーホワイトは森へ向けてミサイルを発射しました。  ホワイトアウトが暮らしていた小さな小屋は跡形もなく消し飛びました。  子供たちの声ももう聞こえません。  バオバブの木はめらめらと燃え上がり、小川には翼を焼かれた小鳥が浮いていました。    無免許医たちはどうなったのでしょうか。    無免許医たちの家があった場所は、石と鉄の山と化していました。ひしゃげたメスがにぶい銀色をかえしました。  そこは死の世界でした。  炎が爆ぜる音以外は何も聞こえませんでした。  突然、その不気味な静寂をやぶって、低い歌声が響きました。 せかいーじゅーう♪ だれだーァって♪ ほほえーめーばー♪ らら らんらんらん らららー↑↑らららー↑↑らららー↑↑らららー↑↑ 小さーなーせーかーいー♪  それは生者のおたけびでした。慟哭のようなその歌は、燃えさかる森に響きました。  声の主は第四の無免許医でした。第四の無免許医は日頃から足を鍛えていたため生き残ることができました。 「皆死んでしまったのか。こんなことが起こるかもしれないから、足を鍛えろとあれほど言っていたのに」  第四の無免許医は破壊された森の中を歩きました。  生きている仲間を見つけることができなかったので、第四の無免許医が森から出ようとしたとき、藪の中に第七の無免許医が倒れているのを見つけました。
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