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6 人の望みの底なしと恋
カニ王子が指をぱちんとならすと、オペレーターが回収コマンドをうちこみ、棺はカニ王子の船に回収されました。ホワイトアウトを横取りされた無免許医達は、ぽかんとその立派な船を見つめました。
王子はガラスの棺の中のホワイトアウトをうっとりと眺め、そして窓の外の小さな古い船を見ました。それはあまりにみすぼらしく、かわいそうに思えたので、王子はその船も回収しました。
「あんなぼろっちい船で、ここまで来るとは。乗っているのはきっと地球の貧民だろう。
この子の保護者か、僕の同志かはわからないけれど、その無謀な勇気に免じてパーティーを開こう」
王子の船にまねかれた無免許医たちは、お城のようなきらびやかな内装に、驚きました。
カニ王子は無免許医たちに言いました。
「あわれな地球人よ。この死体は僕があずかる。金なら払ってやるぞ」
第四の無免許医は柱のダイヤモンドがもげないか試していましたが、第二の無免許医に足をふまれたのでその試みを中断して言いました。
「まず検死をする。話はそれからだ。カニ星人め」
「今そこの柱のダイヤを盗ろうとしていただろう」とカニ王子は言いました。
「していない」と第四の無免許医は言いました。
「死体をくれたら、その柱をまるごとやる」
「死体じゃないわ。私たちが死亡確認するまでは」
「そうだ。ホワイトアウトはまだ生きているかもしれない」
第四の無免許医は棺に手を伸ばしました。カニ王子も棺に手をのばしました。
二人は睨み合いました。
勝敗はすぐにつきました。
第四の無免許医は裏社会で生きていくために威嚇の作法を身につけていましたが、育ちの良いカニ王子はメンチを切ることに慣れていませんでした。
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