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それから少しだけ時が流れました。
スノーホワイトは、別のパトロンを見つけて悠々自適に暮らしていました。
ある時パトロンが、何かの抽選で旅行にあたりました。
行き先は蟹パルサー内の亜空間にある星です。
パトロンは言いました。
「そこはすばらしい星だが、一般人には開かれていない。宇宙で名のしれている映画監督や、大統領や、王族以外は、不時着だって許されない。こんなチャンスは二度とないよ。スウィート・スノーホワイト」
スノーホワイトはとても喜び、二人はさっそく蟹パルサー内の亜空間にある星へ向かいました。
*
ホワイトアウトは抑うつ状態で、お城の一室に引きこもっており、カニ王子はとても困っていました。
カニ王子はスノーホワイトと無免許医たちのことを自分の恩人だと、王様やお妃様や側近たちに言いました。しかしあまりにもホワイトアウトがふさぎ込んでいるので、お城の皆は好奇な視線をホワイトアウトに向けました。
無理やりつれてきたのでは。
そんな噂が飛び交いました。
「母親の影におびえているにちがいない」
カニ王子は、ホワイトアウトの悲しみの原因が、自分の愛の方向性にあることを知っていましたが、その現実からにげるためにそう結論づけました。
「落ち込んでいるならショック療法だ。母親が目の前で無残な死をとげれば、ホワイトアウトも夢からさめるだろう」
カニ王子は博士のマシーンでスノーホワイトを探し出しました。そしてどうやっておびきよせるか考えました。
「旅行の抽選に当たったとよそおう。話を聞く限り、スノーホワイトは強欲な女だ。この星への旅行をこばむわけはない」
*
スノーホワイトとそのパトロンが、蟹パルサー内の星へ到着すると、ちょうど謝肉祭のカーニバルが行われていました。
その年のカーニバルは、今まででいちばんもりあがっておりました。お城の軍隊が出動するほどになり、熱狂した人々は制服に銃をもった兵隊を見てさらに興奮し、カーニバルは労働デモへと発展しました。
武装したカニ星人にスノーホワイトとパトロンはもみくちゃにされました。火炎瓶が飛びかう中、やっとの思いでついたホテルは、暴徒と化した群衆に占領されていました。しかたなく別のホテルへ二人は向かいました。
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