6 人の望みの底なしと恋

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 その騒動のおかげで、カニ王子は二人を見失いました。 「どうすればいい?スノーホワイトの注目をあびるような何かをしなければ。ファッションショーか?コンサートか?あるいはセミナー?」  暴動を鎮圧したあと、カニ王子は考えました。  生気のないホワイトアウトがふらりとカニ王子の部屋に現れました。カニ王子はため息を一つつくと、言いました。 「OK.わかった。結婚しよう」  それを聞くと、ホワイトアウトのほほは薔薇のように赤くなり、きらきらとした目で王子を見つめました。  カニ王子の結婚のニュースは全てのメディアで一斉に発表されました。国中の人々が、カニ王子の結婚のことを話題にしました。  しかしそれがスノーホワイトの耳に入ることはありませんでした。もしかしたらちらりと耳をかすめたかもしれませんが、「結婚」「幸せ」という言葉が聞こえたり視界に入った瞬間、スノーホワイトはその類の情報をシャットアウトしていました。 ですからカニ王子の結婚の相手については何も知りませんでした。  急遽行われることになった結婚式の日、スノーホワイトはパトロンが見つけてきた豪華なホテルでくつろいでおりました。 桜色のプライベートビーチで、プッシーキャット(※トロピカル風味のノン・アルコールカクテル)を片手に、真珠のような不思議な色の海をながめていました。  スノーホワイトは隣に立っているS●riに聞きました。 「Hey,S●ri.このビーチで、いちばん美しいのはだれ?」 「スノーホワイト、あなたがいちばん美しいです」  スノーホワイトはこの町で、この町とその隣町で、と範囲を広げて質問しました。S●riは、その質問に全て「スノーホワイト、あなたがいちばん美しいです」と答えました。  スノーホワイトは気をよくして、 「Hey,s●ri.この国で、いちばん美しいのはだれ?」  と聞いてみました。 「スノーホワイト、あなたは美しいです。けれどもあなたに良く似た、わかい女王さまはこの国のみならずこの宇宙でいちばん美しい」  スノーホワイトはそれを聞くと、世界が夜になったように思いました。 「今、なんて?」 「けれどもあなたに良く似た、わかい女王さまはこの国のみならずこの宇宙でいちばん美しい」  スノーホワイトはプッシーキャットをAIに向かって投げつけました。
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