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ある日、スノーホワイトはいつものようにAIに聞きました。
「Hey,S●ri.この屋敷から半径300km以内にいる人間の中で、いちばん美しいのはだれ?」
「スノーホワイト、この部屋の中では、あなたがいちばん美しい。しかし半径300km以内なら、あなたの娘がいちばん美しい」
「はあ? あなた壊れてるの? あの子のどこが美しいのよ」
「あなたの娘の美しさは、半径300kmに留まりません。ムービースターに今すぐなれるでしょう」
「Hey,S●ri.本当のことを言いなさい」
「あなたの目は、あなたにとって都合の良いことにしか見えていないのです。目を覚まし、きちんと現実を見据えるべきです」
「ちょっと、ちょっと、何? なんなの? 何言ってんのかぜんぜんわかんない」
「スノーホワイト。時の流れは、誰にも止められません。あなたはかつて、半径300kmの中でいちばん美しい人だった。しかし、今は、あなたの娘がいちばん美しい」
「Noooooo!」
スノーホワイトはAIを突き飛ばし、いすを投げつけました。窓ぎわに走ると、叫びながらカーテンを引きさき、窓ガラスをわり、そのぎざぎざの穴から、地面へと身を投げました。
さいわい部屋は二階にあり、窓の下には薔薇のしげみがありましたので、スノーホワイトはとげに引っかかれてたいへん痛い思いをしただけですみました。
その事件の後、スノーホワイトは娘を見るたびに、ひどくいじめるようになりました。
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