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「お墓で遊ぶなんて罰当たりは駄目! あそこには入らないで下さいね」――と。
ところが、B君が言いました。
「なぁ、探検しようぜ」
駄目と言われればやってみたくなる――そのくらいは活発な私達でしたから、そうか、ボールは取りに行かなきゃいけないし、これは良い口実ができた。三人で話し合い、私達は植木を潜って、墓地に足を踏み入れたのでした。
ボールを拾った後、私達は墓地の中を練り歩きました。
薄暗い中、自分達の背丈よりも大きい墓石や卒塔婆の間を行くのは、迷路かお化け屋敷のようで面白く、ぐんぐん奥へと足を勧めます。その途中で――
「おい、あれ……」
先頭を歩いていたB君が突然立ち止まり、正面を指差しました。
十メートルくらい先でしょうか――そこには黒い服を着た同い年くらいの女の子が一人で立っていて、こちらをじっと見ているのです。
瞬き一つせず、ぼそぼそと何か言っている様子でしたが、私には聞こえませんでした。
女の子が口以外微動だにしないので、だんだん気味が悪くなって、私達は逃げるようにその場を後にしました。
「ねぇ、気持ち悪くなかった?」
帰り道、私が先程見た女の子のことを話題にすると、B君が同意してくれました。
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