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サトシはどうして、新しいナナを受け入れられたのか。
それは子供達だけでなく、口止めされてるメイドさん達とかもみんな聞きたいみたいで、食堂中の視線が集まります。
サトシは困ったように考え込んで、一度わたしの方を振り返りました。
わたしは、じっと、サトシを意識して力強く見つめます。
サトシが考えたこと、間違ってないよ。わたしも直観だけだけど、伝わってほしいな。
少し後に、ちょっと諦めたように笑って、サトシがその心を話し始めました。
「だって……今でもナナ、マサミ姉が大好きなんだもん。そんなの……あそこまで言われてもそう思えるのなんて、ナナくらいだろ」
――はっ、と。正男お兄さんや、しばらく何も言わずにいた厚美が、少しバツが悪そうに顔を上げました。
「正男兄も厚美も、ナナに冷たいマサミ姉にモヤモヤしてんじゃん。おれもそうだし、それが普通だと思うんだ。でも……ナナは違うんだ」
そこまでサトシが話した時に――どうしてか、美貴お姉さんが突然、わたしの方を見つめました。
え? と思って見つめ返すと、まるで咲姫おねえちゃんみたいないたずらっぽい顔で、美貴お姉さんが笑いました。
「――だって。それじゃ、そろそろ、探偵さんの所見を聞かせてもらえる?」
そしてどうしてか、その後わたしはメイドさんの姿のまま、ナナの席で話を始めることになります……。
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