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ええっと、と。美貴お姉さんって、スピリチュアルとかが好きなだけあって、鋭いのかな? それとも咲姫おねえちゃんから何かわたしのこと、お話聞いてたのかな。
サトシに改めて「実は同級生」と紹介されて、ナナの席についたわたしは、まずきらきらと正男お兄さんが見つめてきたから、何も言えなくなっちゃいました。
「へぇぇ、何か随分可愛い新人がいると思ってたら、里史の同級生ってさぁ!」
「やめろよ、正男兄。正男兄がテンション上がるってわかりきってたから、母さん棯さんのこと、おれとナナにしか言ってないんだから」
わたしは玖堂さんに生活を援助してもらって、高校に通うことがこの世界での宿題です。
でも正男お兄さんは、厚美ともタッグを組んで、一緒に芸能界やろう! なんて、わたしに熱い視線を向けてきます。とても、サトシより一つ上には見えないお兄さんぶりです。
なのでわたしは、まずはそこから、話をしてみることにしました。
「……あのね。多分マサミ、マサオのそういうところ、ちょっと怖いって思ってる……」
「――へ?」
「マサオに自信があるのはいいことだけど……今、大事なお話は、わたしのこととは違うよね?」
――正男もね、アンタね。今ここで一番空気読めてないのはアンタよ。
正男お兄さんはとにかく、あんまり重い空気が好きじゃないみたい。みんなを笑顔にするのが自分の役目だって、多分思ってる。
だから突然現れたわたしのことに、無意識に話題を変えようとしちゃってる。
それは決して、悪いことじゃないけど……でも、今しなきゃいけないお話はそれじゃないよね。
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