2/9
前へ
/222ページ
次へ
 ええっと、と。美貴お姉さんって、スピリチュアルとかが好きなだけあって、鋭いのかな? それとも咲姫おねえちゃんから何かわたしのこと、お話聞いてたのかな。  サトシに改めて「実は同級生」と紹介されて、ナナの席についたわたしは、まずきらきらと正男お兄さんが見つめてきたから、何も言えなくなっちゃいました。 「へぇぇ、何か随分可愛い新人がいると思ってたら、里史の同級生ってさぁ!」 「やめろよ、正男兄。正男兄がテンション上がるってわかりきってたから、母さん棯さんのこと、おれとナナにしか言ってないんだから」  わたしは玖堂さんに生活を援助してもらって、高校に通うことがこの世界での宿題です。  でも正男お兄さんは、厚美ともタッグを組んで、一緒に芸能界やろう! なんて、わたしに熱い視線を向けてきます。とても、サトシより一つ上には見えないお兄さんぶりです。  なのでわたしは、まずはそこから、話をしてみることにしました。 「……あのね。多分マサミ、マサオのそういうところ、ちょっと怖いって思ってる……」 「――へ?」 「マサオに自信があるのはいいことだけど……今、大事なお話は、わたしのこととは違うよね?」 ――正男もね、アンタね。今ここで一番空気読めてないのはアンタよ。  正男お兄さんはとにかく、あんまり重い空気が好きじゃないみたい。みんなを笑顔にするのが自分の役目だって、多分思ってる。  だから突然現れたわたしのことに、無意識に話題を変えようとしちゃってる。  それは決して、悪いことじゃないけど……でも、今しなきゃいけないお話はそれじゃないよね。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加