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同じ方向、わたしと厚美の間におどおどしてる美佐がいるから、わたしはついでに一緒に言っちゃいます。
「ミサにも。ご飯の食べ方は、何をするにも大事だって、そう言いたいみたいだよ?」
「……う……?」
――学校も行かずに絵ばかり描いて、来たくないなら夕飯もボイコットすれば?
「学校は行かなくても、マサミがうるさくても、夕飯には来れるんだよね。それ、マサミは、いいことだって思ってる」
「…………」
――中途半端に見苦しい食べ方続けるよりずっとましじゃないの?
「誰かとご飯食べるのは、学校と違って嫌いじゃないんだよね。学校は行かなくても、外にはご飯食べに行けたらいいって、マサミは思ってたよ」
美佐は多分、ちょっと気難しいヒトの気がする。そういうヒト、御所にもいたけど、人嫌いのことが多かったよ。
美佐の場合、学校は嫌いでも、絵を描いたりヒトとご飯を食べたりするのは大丈夫なんだ。
それならできることを伸ばせって、マサミお姉さんは言いたいんだと思う。ご飯の食べ方が悪いままじゃ、もったいないって。
「棯さん……それ…………」
何だか、サトシをはじめ、みんなの視線がわたしに凝縮されてきました。
どうしよう……ちょっと、恥ずかしいな。
推理も証拠も何もなくて、全然探偵らしくないんだもの……。
「じゃあ、マサミ姉は……ナナのこと、どう思ってる?」
うう。恥ずかしいけど、これは答えなきゃ。それが多分、今回の一番の依頼だし。
サトシ、マサミお姉さんが怖くて困るっていうの、きっとナナのために思ってたから。
マサミお姉さんもナナのためにも、あえて怖くなってそうだから……これはちゃんと、誰かが言わないとだね。
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