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 今日は一人だけ、いなかったナナ。  噂をすれば何とやらで、外来室に唐突に、ナナの気配が戻ってきました。  あれ、色んな世界に繋がる外来室に直接帰るってことは、ナナのお出かけ先は異世界だったみたい? 「ただいまー! ――あれ? お兄ちゃんと猫羽ちゃん?」  処置室にナナが駆け込んできます。その後ろの、多分ナナを連れ出してくれた人影を見て、わたしは息を呑んでしまいました。 「え? 猫羽ちゃんいたんだ、わーい、タイミングいい♪」  襟巻みたいな仔狐を肩に乗せて、深めの帽子を被ったお洒落なヒト。  元いた所では兄さんが元々お世話になってたヒトが、診療所にナナを送ってきてくれたみたい。 「こっちじゃ随分たつけど、元気してるー? 悠夜くんとか猫羽ちゃんがいないと張り合いがなさそうだよー♪」 「……クウ」 「え? (くぬぎ)くんとも知り合いなんだ、猫羽ちゃん! 今日はねぇ、カイ先生のオススメで槶くんに色々相談に乗ってもらって、とても気が楽になったんだ、私!」  嬉しそうなナナが、クウの袖を引っ張って教えてくれます。クウ、そう言えばたまに薬剤師さんとして、ここ、橘診療所に出入りしてたもんね。  ナナ、本当に色んなヒトとお友達なんだね。悪魔の氷輪くんとも仲がいいもんね。  サトシは突然現れた美形のお兄さんなクウに、目を白黒させてナナ達を見つめてます。  とりあえずクウを警戒するようにナナを引っ張って、まるでお父さんみたいな顔で尋ねるのでした。 「相談って……何しに行ってきたんだ? ナナ」 「うん。正美お姉ちゃんが、私のせいで最近イライラしてるから、私には何ができるかなあって。お姉ちゃんには心配かけっぱなしだから、どうしようって思ってたの」 「って――ナナ、知ってたのか?」 「え? だってお姉ちゃん、昔からそうだよね?」
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