9/9
前へ
/222ページ
次へ
 マサミお姉さんが、どれだけ不器用な形でも、ナナを今も心配してること。  わたしみたいな直観がなくても、ナナはそれを、心から信じてるみたい。  ……そうだよね。病気ではなくなったけど、人間でない体で生きるっていうのも、よく考えれば大変だもんね。  肩の襟巻をさわさわと撫でながら、クウはあっさり、そんなナナに言ったみたいでした。 「いいんだよー、ツンデレやヤンデレは不器用なのが仕事なんだからね。っていうか、そこがいいんじゃない!」  クウが言うと、説得力があります。  クウ、兄さんとかみたく不器用なヒト、昔から好きそうだもんね。  サトシは、何だ……とばかりに、へなっと肩の力を抜いて、もう一度ベッドに座り込むのでした。  わたしはとりあえず、久しぶりに会えたクウに、「あくやく令嬢」≒「ツンデレやヤンデレ」でいいのか、美味しいご飯を食べながらゆっくりきこうと思います。  だって。  優しいヒトはみんな、わたしも大好きなんだもん。 余話 了
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加