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わたしのPHSは、悪魔仕様です。
わたしは一応、悪魔使いです。
悪魔というのは、父さんいわく、ヒトの心にあるものらしいです。
よくわからないけど、何でもいいけど、そういうわけでわたしはPHSを手放してても、悪魔を通じてPHSに伝わる内容が聞こえます。
「課長、とにかく中に入れてください! いくら私がうっかり者だからって、こんなにいきなり追い出すなんてあんまりです!」
人目のあるビル街で必死に叫ぶ山田さんに、帰り道を行く人達がちらちら振り返ります。
でも山田さんは気にしてません。むしろPHSの課長さんが、少しうろたえた重い声で、人聞きの悪いことを言うな! と焦ってました。
課長さんは、いいから今日は帰れ、山田! と怒っていて、対する山田さんは、嫌です! とひたすら訴えます。
「IDをなくしたくらいでクビなんてそんな! もうミスしません、今度は寝ないでデータチェックしますから、今回の仕事だけでもせめて納期までいさせてください!」
誰がそんなことを言った、お前やっぱり人の話きいとらんな! と……。
何だか課長さんが、呆れつつ、大きなため息をついてるもようです。
とりあえず、わたしと山田さんのお話しみたいに、課長さんと山田さんがあんまり上手く話しをできてないのは同じみたいです。
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