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このままだと中に入れてもらえそうにないし、色々思うところがあったわたしは、ちょっと間に入ることにしてみました。
PHSをさらって、山田さんが「!?」と目を見開くのもかまわず、強引にわたしは伝話をかわります。
「こんばんは。ちょっと、お話ししてもいいですか?」
「――!? 誰、いや、どちらさまで、子供……!?」
咄嗟のことで、課長さんもびっくりしてるらしく、わたしは深々とおじぎをします。
あ、実際には当然、課長さんは目の前にはいないんだけど……。
「棯猫羽です。山田さんがもう会社に入れないってきいて、それだと困るので、わたしも一緒にお願いをしに来ました」
「は……? 君は、山田くんとはどういう……」
当然の質問をしてきた課長さんに、わたしは、待ってましたとばかりに――今、すごく言いたかった、思いのたけを告げます。
「わたし――探偵です。課長さん……あなたは何か、山田さんに、隠し事をしていませんか?」
事務所では、せっかくわたしも、探偵部門の下っ端だから……。
一度、言ってみたかったんです。
課長さんが山田さんに、何か言えていないことがあるのは、PHSの声の気配でわかったしね。
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