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思えばわたし、バイトを始めて、はっきり探偵と名乗ったのはこれが初めてでした。
「な、何を言い出すんだ、君は……!」
あからさまに、課長さんが動揺してます。うん、やっぱり、何かおかしいよね。
そして……ちょっとだけ、楽しい……。
意外に本当に、役に立つんだなぁ、わたしの直観……。
「おかしなことを言っていないで、早く二人とも帰りなさい! 山田くんには改めてこちらから連絡するから」
「あ、でも……」
「これ以上何が言いたいのかね。山田くんに何を言われたか知らないが、こちらも忙しいんだ、探偵ごっこはよそでしてくれないか」
あー、うん……やっぱり、あんまり役に立ってないかも、これ。
何かおかしいのは、わかるんだけど……でも、何がおかしいんだろう……。
兄さんならもうちょっと、具体的にわかるんじゃないかなぁ。無理かなぁ。
わたしがじっと黙りつつも、伝話を切ろうとしないので、課長さんはもう少し強い口調になりました。
「今は山田くんのことに関わっている余裕はないんだ。ちょうどいいから、君が山田くんの知り合いなら、とにかく山田くんをここから離れさせてくれないか」
……ああ、でも……。
それでも、向こうから伝話を切らないんだね、この課長さんは――
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