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一
俺の弟は、神子らしい。
突然、俺と弟の足元に魔法陣が現れて、気付いたら知らない場所にいて、そこにいた男の人にそう言われた。
確かに、そう言われると思い当たる節は沢山あった。
今まで風邪すら引いた事なく、大きな事故もない。
運は良すぎるくらいだし、誰からも愛されるような性格と容姿。
神子と言われても違和感はない。
それにくわえて俺は悪運が強いしよく怪我もする。
相手に誤解を与えやすい顔をしているし実際に親にすら避けられている。
弟と真逆だ。
けれど弟はそんな俺を一番理解してくれて、いつもフォローしてくれた。
・・・ほんと、俺と真逆だな・・・・・・
そう考えている場所は牢屋。
俺は神子と気安く話したという罪で国に捕まった。
理不尽すぎる。弟と話すのさえダメなのか。
このファンタジーの世界は何を考えているのか分からん。
ったく・・・家族と話しただけで死刑とか・・・
公開処刑らしい。見せしめってか?
まだ死にたくないな・・・
まあでも、これで弟(アイツ)に迷惑をかけることがなくなると思うと少しは楽だな・・・
たしか処刑日は明後日だった気がする。
あんまり興味がないからうろ覚えだ。
はぁ・・・痛いのは嫌だな・・・
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