第一章 邂逅

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立っていたのは学友の三田村で、どこか心配そうに眉を寄せていた。おそらく、暁斗と同じく新聞を目にしたのだろう。 「家に聞いてみたけど、気にするなの一言だったよ」 「じゃ、ガセだったのか?」 「わからない」 暁斗はふうと息を吐いた。 「アンニュイだな。女共が喜びそうな顔だ」 「よせよ」 三田村は励ましているつもりかもしれないが、暁斗にとっては正直それどころではないし、容姿のことでからかわれることは苦手だ。 暁斗は、青年にしては繊細な顔立ちをしていた。切れ長の目を囲むまつ毛は長く、色白な肌はつるりとしている。小ぶりな鼻と、ふっくらとした唇、身長に比して小さな瓜実顔と揃っているせいで、実際の年齢よりも幾分か下に見られることが多かった。 体躯もほっそりとしており、大学に入ってもなお、色っぽいだの女形でもやってみろだの、からかわれることも少なくない。背はそれなりにあるし、幼少期から柔術を習っているため、本人としては身体つきは悪くないと自負しているのだが、雄々しさに欠けることは自分でも否定できなかった。 正直なところ、男子として名誉なことではない。 こうした見た目に暁斗がコンプレックスを抱いていることを承知の上で、三田村は時折からかってくる。悪い人間ではないが、趣味がいいとは言い難い。     
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