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もし、先輩に見つかっても偶然ですねと言い張ればいい。 相手の姿を確認したら帰るつもりの僕は、こそこそせずに堂々と喫茶店に入った。 観葉植物でテーブルとテーブルを区切られた店内。 見晴らしが悪いので、僕は先輩の座っている場所を探すのに苦労した。 その代わりに、先輩の方からも僕が見つかりにくいという利点があって隣のテーブルに座る事ができた。 「いらっしゃいませ~。ご注文が決まられましたらお呼びください。」 店員がメニューと水を置いていった。 僕はメニューを見ながら、耳を凝らす。 隣からはやはり予想通り、男の声が聞こえてきた。 「玲ちゃん、久しぶりに会えてすごく嬉しいよ。」 「私も嬉しいわ、タクマ。」 先輩の声がいつも聞くのより高い。 「玲ちゃん!」 「あ、ごめんなさい。…………タクミさん。約束の物持ってきたわ。」 「ありがとう。これ、頼んでた通りのやつじゃん。玲ちゃんはやっぱり最高の女性だね。」 「そんな…………」 甘々な会話をこれ以上聞いてられなくて、僕は注文をする前に立ち去ろうかと考える。 しかし、僕はさすがにそんな大それた事をできなくてメニューの中のコーヒーを注文した。 「…………それで、実はまた鬱陶しいストーカー女がいるんだ。」 「えっ?」 「その子をどうにかして貰いたいんだけど…………駄目かな?」 「それは…………」 「無理だったら良いんだ。紀ちゃんに頼むから。」 「いやっ!私がやる!私がどうにかするから!」
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