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先輩に抱いていたのが尊敬や憧れだけではなかったから。 そして、僕は今ここでストーカーをしている人を追い払うという役目を引き受けてる。 僕はまた辺りを見回す。 やはり教えてもらったような人は見つからない。 「時間は分からないけれど、必ず現れるから。」そう、言われているが本当に現れるのだろうか? 時間が経てば経つほど、そんな考えが頭を過る。 お腹が空いたから買っておいたパンでも齧っておこうかと長期戦を覚悟し始めた時、ようやく目当ての人物を見つけた。 その人は柱の陰から少しだけ身体を出して、出入り口を覗いていた。 もう一度、先輩から聞いた特長と頭の中で照らし合わせてから車を降りる。 ドアを閉める音に過敏に反応したさの人は、やはり自分でもやってはいけないことをやっているという自覚があるのかもしれない。 僕は見失う前にと、その人に駆け寄った。 僕に気付いて、逃げようと走り出す。 しかし、すでに手の届く距離にまで近付いていたので腕を掴んで簡単に捕まえる事が出来た。 「いやぁ!」 もがいて逃げようとするのを押さえながら、僕は出来るだけ低く恐い声を出す。 「タクマに近付くな…………近付いたら、とんでもない目に遭うぞ。」 タクマの名前を出した途端、抵抗をやめて僕を鬼のような形相で睨み付けてきた。 「あんた誰?私、タクマの彼女なんだから、タクマをどうこうしようとか考えてるなら許さないから!命に代えても阻止してやる!」
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