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逆にそんな脅しをかけられて、僕はびっくりして思わず腕を放してしまった。
「まてっ!どういうことだ!」
僕は逃げて行くのを追いかけながら問いかけたが、返事は返って来なかった。
そして、姿も見失ってしまった。
僕には何がどうなっているのか全く分からなかったが、更に分からなくなってしまった。
完全に混乱してしまった僕は、先輩と約束していた「ストーカーを追い払ったらすぐに連絡する」というのをすっかり忘れてしまっていた。
思い出したのは、車でその場を去ろうと動き出した時にだった。
車で少し離れた所にあるコンビニまで行ってから、電話をかける。
「…………先輩。」
「どう?」
「追い払ってしまいました。もう、30分くらい前に…………」
「えっ?!じゃあ、あいつはもう近くに居ないってこと?」
「多分…………」
「どうしよう…………」
先輩の声が微かに震えている。
しかし、その事よりも気になる事を先にぶつけてしまった。
「先輩、ストーカーって言われてた人が、自分はタクマの彼女だって言ってたんですけど…………?」
「……………………ああ。それはきっと、その子の思い込みよ。」
長い間を開けてから、ようやく返ってきたのがそんな返事だった。
僕はとても納得できなかった。
「先輩の話も、喫茶店で聞いた二人の話も、ストーカーしてる人の話も何かおかしくないですか?本当のこと教えてもらえませんか?」
僕は少し強めの口調で訊ねてみた。
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