9. ララバイ

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 手を繋いでいたアルスがユキを振り返る。 「大丈夫か?」 「うん」ユキは笑顔で答える。  額には汗が(にじ)む。  歩いて山道を登っていると長袖のシャツでも暑いくらいだった。  ユキが腕で汗を(ぬぐ)い、我慢できずにシャツの袖を捲った。  毛織のマントを着こんだアルスが驚いた声を出した。 「暑いのか?」 「歩いたからちょっとね」  白い息を吐きながらアルスはユキを見つめていた。 「ほら、行こう。後が詰まっちゃうよ」  ユキがアルスに笑いかける。 「そうだな」とアルスは前を向き、また歩き出した。
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