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手を繋いでいたアルスがユキを振り返る。
「大丈夫か?」
「うん」ユキは笑顔で答える。
額には汗が滲む。
歩いて山道を登っていると長袖のシャツでも暑いくらいだった。
ユキが腕で汗を拭い、我慢できずにシャツの袖を捲った。
毛織のマントを着こんだアルスが驚いた声を出した。
「暑いのか?」
「歩いたからちょっとね」
白い息を吐きながらアルスはユキを見つめていた。
「ほら、行こう。後が詰まっちゃうよ」
ユキがアルスに笑いかける。
「そうだな」とアルスは前を向き、また歩き出した。
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