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――――それはどこの言葉なのか誰にも分からない。
サラナや後ろの方にいたキーラやマルタも驚いた顔を見せる。
暁の宮殿ではサマルディア語やロベリア語で聞こえていたはずなのに、〈月の子守歌〉は様相を一変していた。
不思議な言葉が歌の様に響く。
辺りの景色が淡く霞むような気がする。
気づいたもの達が周囲を見渡す。
洞窟内が少し霧がかっているのだ。
そして冷え冷えとしていたはずなのに、熱い空気がまとわりつく。
毛皮を着こんでいた者が堪らずにそれを脱ぎ始める。
湿度も上がりムシムシとしてきた。
体から汗が噴き出してくる。
それに伴い嗅いだ事の無い土臭いような油の臭いがする。
顔をしかめて鼻を押さえる者もいた。
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