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1. on the beach
厳しい教育係である大臣のダマクスの元、ユキはそのしごきに何とか耐え続け、一応のお妃合格点をもらう事に成功していた。
皇帝の住まう深碧の宮殿ではサン・サル教の司祭達を交えて、婚礼の場所や日取りを決める会議が連日行われていた。
「恐らく半年後の聖サルータの日あたりが、結婚式になるんじゃないでしょうか?」
サラナがご機嫌にユキに声をかけた。
「半年間もこんな事やるの!?」
ユキはため息混じりに答える。
ユキの居るこの暁の宮殿では、まだ日程も決まっていないのに、結婚式へ向けての準備が着々と進められていた。
今日のユキは大臣のダマクスが手配した結婚式の衣装係に何度も体に紐を当てられ、隅々までサイズを測られていたのだ。
その側に控えていた侍女のサラナと、さっきから結婚式について話をしていた。
「なんと言ってもこの国の皇太子様と月の女神様の結婚式ですよ? もう想像しただけでうっとりしちゃいます」
ロマンチストのサラナはここ最近興奮しっぱなしだ。
「みんなは勝手にそう呼んでいるけどさ。……私って本当はただの日本の大学生だからね? わかってる?」
「ああ! そういえばユキ様は学生さんだとおっしゃっていましたわね」
思い出したようにサラナが声を上げた。
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