1. on the beach

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 珍しくユキはアルスと一緒に夕食をとっていた。  アルスは日々の雑務や公務に加え、ここ最近は結婚式の準備にまで追われ、多忙を極めていた。 「ユキ。来週ウルートの町で開港百周年の記念行事があるんだ。一緒に行こう」 「ウルート? ウルート……」 「ガ……」 「言わないで! 待って」  アルスがどこにあるのか説明しようとしていたのを、ユキは慌てて止めに入った。  主な市町村はお妃教育のカリキュラムの中で勉強していたのだ。ダマクスに試験までさせられていたのである。 「わかった! ガシュインの港の南部にある、有名な将軍の像がある……えーっと誰だっけ?」  アルスはユキの回答を聞いて笑った。 「逆だ逆。ガシュインの北部にある、入江の町だよ。有名な観光地だぞ」  ユキは頭に手を当てた。  だから地理は嫌いなのだ。 「……で? そのウルートが何だっけ?」    ユキはまだサマルディアの地図を頭の中で広げて、ウルートの位置を模索していた。 「だから開港百周年の記念行事があるんだよ。皇族も呼ばれているからな。俺とユキで行くことにした」  ユキの瞳が輝いた。  最近お妃教育からの結婚式準備で、ストレスが溜まりに溜まっていたのだ。 「嬉しい! これで羽が伸ばせる」  ユキが歓喜の声を上げる。  アルスがそれを見て微笑んだ。 「まあ、行っても公務、公務で忙しいだろうが、少しくらい時間を作ってゆっくりしよう」  
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