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手紙
ざらついた生成りの封筒を開くと、また同じ用紙が入っている。
紙は全部で3枚。
2枚は、同じサイズの物で便箋だ。
もう1枚は手の平程の大きさで美しく均衡のとれた、するんと肌触りも良い少し厚めの紙だった。
各々が違う言語で文字が書かれている。
1枚目の便箋にはロベリア語でこの手紙の内容とメッセージが書かれている。
問題は2枚目の便箋と、3枚目の厚手の紙だった。
「私も初めて見る文字です。近隣諸国の文字の様には思えませんね」
2枚目の便箋を見て、従者は顔をしかめる。
そして3枚目の小さな厚手の紙の方を見る。
「これは……確かな事は言えません。それでも私の目にも……よく似ている文字に見えます」
これには自分も賛成だった。
地下の宝物庫から引っ張り出した書物と比べてみても、形が似ているし、同じような文字を見つける事も出来た。
深いため息が自然と口から洩れる。
「これはお前が持っていろよ」
「…………よろしいんですか?」
それに頷いて返すと、従者はその手紙を受け取り、深々とお辞儀をすると部屋から出て行った。
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