これからもずっと貴女と

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 店を出て、手を繋ごうと思ったらノリ姉が不満そうな顔をしている。 「自分の飲食代くらい自分で払うよ」  はいはい、割り勘でって言った件ね。 「ノリ姉はいつもオレに弁当作ってくれてるでしょ。だから飯代くらいオレが出すって。はい、手」  手を差し出すと躊躇いながらも「ごちそうさまでした」と彼女のそれを絡ませてきた。  そう、それでいいんだよ。オレだってノリ姉にはそれなりのことをしてもらってるんだし。  また暫く商店街を歩いた。  お土産になりそうなものを見て回った。  親父にはコレ、お袋にはアレ、勇司にはコレだな、などと思いながら買い物していたら、『しまった!』と今思い出したことがあった。  家にノリ姉を連れていかないといけないんだった。  今日の今日伝えて、ノリ姉は来てくれるだろうか?  繋いだ手をぎゅっと強く握った。  ノリ姉の方を向くと「ん?」という顔をしてオレを見上げている。 「ノリ姉、あのさ、帰りに(ウチ)寄ってくれる?お袋が会わせろって言ってて……」
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