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ノリ姉こと緒方乃莉香さんの住むアパート前の新築現場で働くオレ、豊川賢雄は一応、大工。
高校を卒業し、父親の手伝いを始めて4年目。
ここの現場に入って、ほぼ毎朝見る子ども連れの女性のことを好きになっていた。
ずっと人妻だと思っていて、その女性のことは『目の保養だけの人』にしていた。
ところが人妻なんかじゃなくて、お姉さんの子どもの面倒を見ているだけだった。
お姉さんの強引な、オレにとっては棚ぼた的なデート計画によって、初めて二人で出掛けた日、手を繋いで恋人気分を味わった。
そして告白し、翌日、手紙付きの弁当を貰った。
昼休みに弁当食って、手紙を読んで、嬉しくて嬉しくて、即電話した。
緊張して声が上擦っていたかも知れない。
それから毎朝、ノリ姉はオレに弁当を作って渡してくれるようになった。
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