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すれ違っただけの出来事なのに。
その後現場で目が合って。
オレのこと覚えてくれていて。
気になってくれていて。
あの時、接点ができて。
今、こうして一緒に居ることは偶然なんかじゃなくて必然なんじゃないか。
「オレたち、会うべきして会ったんだよ。ありがとう。うん、なんだろう。色々ありがとう」
「うん、こちらこそ。
でも無茶はしないで。それだけは守って」
心の奥底に棲みついていた恐怖を蹴って、オレと一緒にいてくれる。
オレは簡単に死にはしない。
ノリ姉の肩を抱き寄せた。
「オレたちまだ付き合い始めて間もないけど、オレね、『抱いた女は幸せにする』っていうポリシー持ってる。
だからオレは乃莉香を幸せにする」
「ありがと、賢くん。お願いしま……」
ノリ姉の肩がフルフルと震え始め、オレの膝にポトポトと数粒の滴が落ちた。
「わっ!あ、いや、その……
車に戻ろっか」
あぁ、何だかプロポーズみたいな事を言ってしまった。
泣かせようと思った訳じゃないのに。
その時はまた改めて言うから。
……けれど、嘘偽り無い想い。
これからもずっと貴女のそばにいる━━━━━
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