第2章 駅ビルにて

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【第2節】歩雪より お花見の日程を決めているとき、深鈴がおかずを一緒に作らないかと誘ってきた。さすが深鈴だ。俺が料理出来ないことを分かってる。 深鈴と付き合い始めたのはちょうど6ヶ月前。一緒に居て居心地のいいやつだったから、告られたときは彼女も俺をそういうふうに思ってくれてるんじゃないかって嬉しくなった。 俺は普段何でもかんでも人に話すほうじゃない。というより、話すのが苦手だ。自分の心根の悪いところまで伝わる気がして。…でも、彼女といると自分の悪いところまで包み込んで認めてもらっている気になる。だから、ついついいろんなことを喋ってしまう。まるで聞いて聞いてとせがむ子どものように。それでも優しく笑って受け止めてくれる彼女は女神じゃないかって思う。 そんなあいつに感謝の気持ちを伝えたくて、今はプレゼントを探しているところだ。 「春彦!なんかいいのあったか?」 真剣にハンカチを見てる春彦に声をかける。何を選んだらいいかわからないからアドバイスをもらおうと思って誘ったのだ。誘ったときは、僕なんかでいいの?なんて聞き返してきたが、あいつも深鈴に何か送りたいらしく快く承諾してくれた。
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