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声をかけられた春彦は、にへらっとした顔でハンカチを見せてくれた。
「このハンカチ、ねこちゃんがかわいくて……」
その手には、保育園生のような格好のねこが何匹か。それぞれ、追いかけっこやボール遊び、お昼寝などをした姿がプリントされている。靴下を履こうとしてるねこなんかもいる。
ねこちゃん……。
にへらとわらうお前こそこそ愛くるしい。
普段、学校で1人の時にはそんなに笑わないからこそ、そういう急な笑顔の破壊力は、はんぱないなと思う。……こう、……まさにズギューンといった感じだ。
深鈴が「かわいい子だねえ」と感心していたのを思い出す。わあ!、でも、きゃー!、でもなく、そういったときのお前の笑顔は感心するほどの愛らしさだ。
春彦がこのねこさんはああで、こっちのねこちゃんはこうでと話している間、春彦のことを内心褒めちぎっていたら、じっと見てるのがばれた。「ごめん!変だったよね?」と顔を真っ赤にして俯く春彦のことが俺にはわからない。なんでそんなに人の迷惑ばっかり気にしてるんだ?そんなちょっとした言動で謝ることなんかひとつもないのに。自分の好きなものくらい好きって言っていいんだぞ。
なんだかかわいそうだし、
「…かわいいなあ。」
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