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(……ん? 困ってる?)
何で困っているんでしょう? 私何かしたでしょうか?
お師匠様は私から顔を背けて、
「……お前の魔力の暴走は、俺がお前にしっかり制御法を教えていかなかったから起こった。私のせいであってお前のせいではない」
礼をされるいわれはない――と、そう仰りたいのでしょうか?
私はぶんぶんと豪快に首を横に振ります。
「現実として! 私はお師匠様のお薬で助かりました! そのお礼は、受け取ってもらってしかるべきです!」
「………」
「それにまたお師匠様にお茶が淹れられて嬉しいんです私。もう、一日何杯でも淹れちゃいますよっ! おかわりいりませんか?」
「まだ一口も飲んでいない」
呆れた声でそう言い、お師匠様はティーカップを持ち上げ、口に寄せました。
一口。よし、飲んでくれた!
その時点で嬉しかったのに――
「……うまい」
へ?
今、今何と仰いましたかお師匠様っ!?
「お、お師匠様、お師匠様、もう一回言ってくださいお師匠様ーーー!」
「うるさい! 何度も言わせるな!」
ああん、もう一回聞きたい! だって私の妄想、空耳かもしれない! 確かめたかったのにい!
私はしょぼんと肩を落とし、
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