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「宿題やってきます……」
近くの台に置いていたティーセットへと手を伸ばしました。
ところが。
「待て。話がある」
はてお師匠様からお話とは何でしょう。
はっ。まさか宿題を増やされるのでしょうか!? ローランさんの特訓のおかげでマシになっているとは言え、私はまだまだお師匠様にはついていけませんよ!? 堂々と言うことではありませんが!
「こっちへ来い」
そう言って、お師匠様は手を差し出されました。
「?」
私は疑問符を浮かべながら、お師匠様に近づきます。
と――
お師匠様は急に私をぐりんと背中向きにさせ、後ろから手を回し、すとんと座らせました。
どこに? ――お師匠様のお膝の上に!
つまり私は後ろからお師匠様に抱かれながら、お師匠様の膝の上に座る体勢になったのです。
お師匠様の呼吸が、私の首筋にありました。私の鼓動が一気に跳ね上がりました。心臓が割れそうに鳴り始めます。なにこれ、どうしたのこれ!?
「……すまなかったと思っている。お前を必ず元の世界に帰してやると言ったのに、こんなことになって」
「そ、それは……お師匠様のせいではありませんから」
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