カナリア

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 鳴かないカナリアがいました。  そのカナリアはデパートの屋上のペットショップの片隅に、売れ残ってずっとそこにいました。  ペットショップにはいろいろな鳥たちがいました。  カナリアのとなりの三羽のセキセイインコたちはコロコロと鈴を鳴らすような声で毎日おしゃべりに明け暮れます。  正面のかごの白ブンチョウはつがいで、いつも仲良く寄りそっています。  その横のジュウシマツたちは大家族でいつも賑やかでした。  あんなにたくさんいて、誰もけんかなどせずに仲良くやっているのが不思議なくらいです。 「こんにっちは。こんにっちは」  かごの外の止まり木にとまっている一羽のオウムは得意げに人間の言葉を話します。  とつぜん鳴かないカナリアの上から美しいさえずりが聞こえてきました。 「わたしたちはカナリア、カナリア、歌うために生まれてきたカナリア」
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