カナリア

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 かわいそうな、カワイソウナ、カ、ワ、イ、ソ、ウ、ナ。    女の子の声は、けたたましいオウムの声に変わり、それにセキセイインコたちの合唱が加わり、ジュウシマツたちはハラショ、ブラボーと羽を鳴らしました。  白ブンチョウの二羽はタンゴを踊り出し、ぐるぐる、ぐるぐる、目がまわるほどぐるぐる回りました。  カワイソウ、ハラショ、ぐるぐる!  コケッーーーー!  オウムがニワトリの真似をして雄叫びをあげました。  カナリアはうずめていた頭をおこし、辺りを見まわしました。いつもと変わらない夜がそこにありました。  いつものようにカナリアは夢を見たのでした。 「愚かなことよ」  まっくら闇のなか、ぼそりと何かがつぶやきました。
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