カナリア

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 世間話に一生懸命だったインコたちはピタリとおしゃべりをやめて、その歌声に耳をかたむけます。 「ラララー。ルルルー。わたしたちの美しい声に今日もみんなうっとりする」  オウムは黙って目を閉じ、ジュウシマツたちもみんな押し黙って、白ブンチョウの二羽はぎゅっと寄り添い合い、カナリアたちの歌に聞き入ります。  鳴かないカナリアは一番下の隅っこのかごの中で自分と同じカナリアたちの歌声にじっと耳を傾けることしかできませんでした。  なぜならそのカナリアは生まれたときから声をもっていなかったからです。
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