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「陵平。お前、大丈夫か?
昌平さんは、お前がここへ越してきて間もなく亡くなったろ?
その時、昌平さんの双子の弟の光平さんがお前を引き取って育てたんじゃないか。
精神に障害があるとか何とかで、実際は一緒に暮らせりゃしないけど、他に身内がいないんじゃどうしようもない。
私は昌平さんには生前とても返し切れない恩義があるから、勝手な考えだとは思ったんだがお前さんのことを面倒見ようと決めたんだ。
光平さんも言うほど大袈裟な障害者には見えなかったし、これまでも大きな迷惑はかけられてもなかったからまぁ、なんていうか。
お前さんのことを大事に育ててきたつもりだよ。
それなのに思春期なのか反抗期なのか、おかしな出で立ちの連中とつるむようになって本当に心配していたんだよ」
陵平はまるで今初めて聞いた話といったように、動揺して体を揺らした。
私が代わって質問に応えた。
「すいません。
実はこいつ、昨日の夜にすッ転んで頭を打った拍子に記憶が飛んじゃったみたいなんです。
それで自宅を思い出しながらなんとかここまで来たんですけど、同居しているおじいさんのことや数年前までのこともわからなくなったみたいで。
困ってたところに大家さんのこと思い出して、色々確認しようと思ったわけなんです」
おじさんは目を丸くして事情に聞き入った。
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