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「お前、変なクスリとかに手を出したんじゃないだろうな!」
と、急に怒って怒鳴り始めた。
私は陵平の前に立って、おじさんを制した。
「違います!
こいつの悪い連中との付き合いはほんの一時的なもので、今はもう全部切れました。私が証人です。
クスリなんて、一度もやってません。頭を打って記憶が飛んだことは本当のことなんです!
信じて下さい!
助けてやってください!」
必死に頭を下げると、おじさんの怒りのオーラが小さくなった気がした。
私は陵平を引っ張って頭を下げさせた。
陵平はなぜか声を殺すようにシクシクと泣いている。
それもそうか。
一緒に暮らしていたと思ってたじいさんが他界していたんだから。
「・・・陵平」
おじさんがトーンを下げた声色で陵平の名前を呼んだ。
陵平が顔を上げる。
私はその横顔を、目を見た。
いつになく真剣な顔だ。
「ご迷惑をかけてすいません。僕は・・・今から光平さんに会いに行ってきます。ありがとうございました」
そう言うと、頭を深々と下げてその場を後にした。
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